
ヨーロッパ出張 2024 イタリア編(クレモナ)
2024年12月16日
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< ヨーロッパ出張レポート③ > 少し遅くなりましたが、最後はイタリア クレモナでのレポートをお届けいたします。 今年はクレモナ・ムジカに加え、3年に1度開かれる「トリエンナーレ・コンペティション(国際弦楽器製作コンクール)」も開かれておりました。 「トリエンナーレ」とは現代の国際製作コンクールの中では最も参加規模が大きく(今年は300人以上の参加)、世界中の弦楽器職人や弦楽器業界人たちが注目する権威あるコンペティションです。(正式名称は”Il Concorso Triennale Internazionale di Liuteria Antonio Stradivari”) 今回はそんな貴重なイベントの様子も拝見してまいりました。 [ イタリア編 in クレモナ ] ミラノ中央駅から電車で約1時間、クレモナ駅に到着。 やはりイタリアの駅はどこも、外観が美しい。 翌日。 朝からクレモナ・ムジカの会場へ 1年ぶりですが、中は相変わらずの賑わいの雰囲気があります。 今年も吸い込まれるかのようにPetko Petkov氏のブースへ。 毎年の恒例ルートみたいになりそうです。(笑) いつもすばらしい楽器の提供をありがとうございます。 ドイツ弓メーカー Dörfler(デルフラー) 近年のインフレや弓材が貴重になっていく中、いつもリーズナブルな弓からマスタークラスまで変わらず幅広くご提供いただきありがとうございます。 弦楽器以外にも、興味が湧くようなブースもございます。 大量のレコードが置いてあるブース。 詳しくはないですが、レコード好きの人にはたまらないのでは。 すごく気になる音楽療法のブース。 寝転んでいる女性の下に男性がチャクラのような気を手で与えている様子。 かなりシュールな光景ですが、わたしも一度受けてみたいと思いながらじっと見つめておりました。 (いまだにこの療法がどういう効用や効果があるのか私はわかっておりませんが。) それからも色んなブースを回りつつ今年のクレモナ・ムジカを見学しました。 この日の晩は駒メーカーのDespiau社に食事に招いていただきイタリアンレストランへ。 昨年は旅の不慣れによって中々食事を楽しめなかったのですが、今年は万全な体調?で。 どの料理も案の定おいしく、ポルチーニ茸からはじまり、肉料理、生ハム、デザートまで絶品でした。 一番初めからテーブルに置かれていた、肉団子のようなミートボールフライ(写真右下)だけはお腹がはちきれそうで手が出ませんでしたが。(笑) 昨年に引き続きありがとうございました。 食事中、代表者Nicolas Despiau氏とお話の中、弊社が40周年を迎えたことを伝えたところ、「明日、お祝いのプレゼントをあげるから私たちのブースに来て!」と。 すると、翌日のDespiau社のブースにてプレゼントをいただいてしまいました。 フランス?地元?で伝統のブランデーだそうです。 銘柄は詳しくありませんが、お酒好きのわたくしにとっては非常に嬉しい贈り物でした。 (帰国後、さっそくおすすめのストレートで飲んでみましたが42度もあり、アルコールも香りもかなり強かったです。ゆっくり味わいながらちびちび飲んでいこうかと思います。) 翌々日。 この日は街内の工房を巡ったあと、最後にトリエンナーレのエントリー作品を見に行きました。 会場に到着すると、 ざーっと300もの楽器が並べられており、初めての光景にワクワクが止まりませんでした。 いつもは順位毎に並べられていたとのことですが、今回は名前順で並んでいたため順位がわからず。。。 その一方で、先入観なしに自分なりの考えを持ちながら拝見することができたのはよかったです。 この日のために丹精込めて作られた楽器たちはとても興味深く、製作者の意図を想像しながら見る時間は有意義で非常に楽しいです。 この日は製作家の根本 和音氏に会場へ同行いただいていたため、同時に彼の製作家としての意見も伺いました。 「近年は楽器の綺麗さだけでは差がつきにくく、その先の誰にも出せない”何か”を作り上げることができる感性を持っている人が評価されている」とのこと。(その時の審査員の好みにも左右されるとのことですが。) 改めてコンクールのレベルの高さに驚愕です。 今までのゴールドメダルを受賞した博物館の楽器たちはその時代を作ってきた人たちの作品かと思うと感慨深かったです。(そう考えると根本氏はチェロで1位になったことは改めてどれほどの栄誉なのかとも思いました。) また、根本氏自身の楽器についても伺い、楽器作りにおいての技術力や細部へのこだわりはもちろんですが、奏者への思いやりや理解を深めていこうという考え方が印象的でした。 その意識がトータルで素晴らしい楽器ができる感性に繋がっているのではないかと思いとても勉強になりました。 今回、彼がエントリーした作品はコンクール用として作られていたため、ご縁もありその内のヴィオラを弊社にて迎え入れさせていただくことになりました。 根本氏の最新の感性や技術が詰まった素晴らしい作品ですので、気なる方は是非ご試奏ください。 展示作品を見終え、ほっと一息をつきながら休憩。 300もの作品を一気に見たために頭の中はパンパンでしたが、気づきやポイントなどを自分なりに整理して今後の参考に。 (しかし、審査員の方々の見る目はもちろん素晴らしいとは思いますが点数をつけていく体力もすごいなぁと思わされました。) 今回の出張でもまた新たな発見や出会いがあり、非常に貴重な経験をすることができました。 まだまだ奥深い弦楽器ですが、もっと様々な方の作品を見てみたいという思いがより強くなりました。 来年も伺えること、そして新たな作品との出会いを楽しみにしています。 仕入れは随時みなさんにご紹介させていただきますのでお楽しみに! P.S. マルペンサ空港のマクドナルドは店員さんが超絶スローペースなので、利用される方は時間に余裕を持ってご利用ください。 (日本でのオーダーが出てくる早さはほんとに素晴らしいです。笑)

ヨーロッパ出張 2024 イタリア編(ミラノ)
2024年11月1日
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< ヨーロッパ出張レポート② > 続いてはイタリア ミラノでのレポートをお届けいたします。 昨年に続き2度目のイタリア出張となりますが、今年はクレモナに向かう前にミラノ内の弦楽器工房を探索してきました。 楽器の製作学校もあるミラノでの新しい出会いや発見をご覧くださいませ。 [ イタリア編 in ミラノ ] ミュンヘン空港からマルペンサ空港まで飛行機で約1時間。 今回も案の定、2時間ほど遅延しましたが、二回目の経験でそれほど驚きはなかったです。(笑) そして、無事に電車にも乗ることができ夜10時頃、ミラノ中央駅に到着。 前回はあまり余裕がなくゆっくりと駅内を見ることができませんでしたが、改めて見るととても大きなスケールに圧倒されます。 ところどころに芸術性を感じる造形物などもあり、日本の駅の概念とは全く違った造りで感銘を受けました。 (ちなみにタイトルの写真はミラノ中央駅の外観です。工事中でしたが。) この日は夜遅くでレストランなども閉まっており、そのままホテルで翌日に備えることに。 イタリア2日目。 ミラノはクレモナに行く道中には必ず踏み入る地なので、今回は少し立ち止まってミラノスクールの現況を確認してきました。 日本ではヴァイオリンといえば、「やっぱりクレモナ!」とのイメージを持たれている方も多いと思いますが、ここミラノでもれっきとした歴史や伝統があり、数々の凄腕の先人たちが輩出されてきた楽器作りが盛んな地です。(有名どころでいくと、モダンイタリアンを代表する工房の主L.Bisiachや、クレモナで有名なG.B.MorassiやF.Bissolottiの師に当たるF.Garimbertiなど) この日はミラノの工房を数件訪問する予定を組んでおり、その内の2工房をご紹介させていただきます♪ まず初めに訪れたのは、”LiutaiLab”工房。 こちらはミラノの製作学校の卒業生たちがプロとして働いている工房でもあり、弦楽器の研究室。 ヴァイオリンやギターなどの弦楽器製作家が在籍しており、定期的に音響性や材木などについてのワークショップを開いたり意見交換を行っているとのこと。中でもDaniele Marni氏(写真:中央)は今年に入ってヴァイオリンで2つの国際製作コンクールで入賞を果たしている期待の若手製作家です。(”A.N.L.A.I”でブロンズメダル、”G.B.Guadanini”ではシルバーメダル。)実際に楽器を拝見しましたが、丁寧な作法で細かなところまで手が行き届いており、きっと彼の器用さがコンクールなどで評価を得ているのだろうと感じました。今後のさらなる活躍に注目&期待です! 続いては、”Gibertoni&Nalin”工房 ミラノの製作学校でも教鞭をとっているStefano Gibertoni氏(写真:ピースしている方)の工房。普段はValerio Nalin氏(写真:チェロを持ったメガネの方)と共同で製作を行っており、クオリティーの高いアンティークフィニッシュの楽器を製作しております。ヴァイオリンからチェロまで説明を聞きながら拝見させていただきましたが、途中新しい楽器であることを忘れてしまうほどアンティークの表現が素敵でした。 こちらの工房ではパーツに使われる材料にもこだわりを持っており、古典的な木材やサステナブルな材料を利用する取り組みも行っております。 Gibertoni氏曰く、「本工房のオリジナルパーツは17~18世紀でも使用されていたとされる古典的な木材を使用しており、環境にやさしく、楽器への音響性(抜け感など)へ機能的なアプローチを実現できる材料である」とのこと。少し難しいお話でしたが、またひとつ勉強させていただきました。 他にも、こちらの工房で働いている製作家の方々がおられ、日本人の若手製作家の吉原 啓介氏(写真:中央左)もそのひとり。 はじめは日本人がいることを知らず、恐る恐る工房内に入りましたが、お会いした瞬間驚きとよくわからない安心感が芽生えました。 つい最近、ヴァイオリン製作学校を卒業したばかりとのことですが、これからは研磨を積みながらプロとして懸命に尽力されていくとのこと。 鈴木弦楽器としてはこれからも応援していきたいです! この日はトリエンナーレコンペの入賞者事前発表日でもあり、同工房のGianluca Coratza氏(写真:右端)が入賞している朗報がありました。 何の賞を取ったかは表彰式までは知らされず、工房内では「もしかしたらゴールド(1位)かもしれんな!(笑)」と和やかな雰囲気で賑わっておりました。 (結果は上位10位以内のファイナリスト賞。300もの作品も中から選ばれるとは本当にすごいことですよね。) こんなアットホームな雰囲気でとても居心地がよかったです。 いままではミラノの製作家の楽器はあまり多く取り扱うことはありませんでしたが、今回工房を訪れ直接彼らの意見やコミュニケーションをとることで、その人たちが考えているニュアンスやこだわりに触れることができたのは収穫でした。 情報社会が進化していく中でも、地域や工房による価値観の違いを発見し、それが作品性にどう影響されているかを考えると、もっと色んな地域を訪れたい気持ちが強くなりました。 最後に、後日行ったクレモナムジカでも彼らがブースを出していたので記念に一枚。 (ブースの出展者は二人でしたが、たまたまお会いしていた製作家たちが一同に集まっておりました。早くも偶然の再会にびっくり。) 写真:左からGianluca Coratza氏、Dario Borroni氏、Daniele Banino氏、Daniele Marni氏、わたし。 いずれも技術はもうすでに申し分ない方たちですが、これからの彼らのさらなる活躍とその作品に要注目です! 次回はクレモナ編です!

ヨーロッパ出張 2024 ドイツ編
2024年10月22日
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< ヨーロッパ出張レポート① > 今年もやってきました&行って参りました! イタリアで開かれる『モンドムジカ』の時期に合わせて、今回はドイツ(マルクノイキルヒェン、ミュンヘン)・イタリア(ミラノ・クレモナ)の全4拠点に行って参りました。 私のヨーロッパ出張は昨年に続いて2回目となりますが、昨年よりかはパワーアップしているはず!? ← 何が? とにかく、今回もお伝えしたい内容はたくさんありますので、少しでもみなさまにその雰囲気を味わっていただけると誠に幸いでございます。 [ ドイツ編 ] 今回も大阪空港から羽田空港経由で14時間ほどかけ、ドイツのフランクフルト空港まで。 そして途中、寝ぼけながらもトランジットして最終地点のニュルンベルク空港へ。 今回は欠航もなく遅延もさほどなかった為、無事に朝8時頃ドイツに到着。(昨年の二の舞にならずひとまず安心。) まずは目的地のマルクノイキルヒェンへ電車で向かうことに。 はじめての電車で案の定、行き方もわからず空港出口付近でもたもたしていたら...「下に行け!」と急にスタッフに言われ無料の地下鉄があることに気づきました。 正直、遠くからいきなり大きな声で呼ばれていたので自分に対してかもわからず、びびって無視しておりました。→スタッフさんすみませんでした。(笑) そんなこんなで大きい駅(なんていう読み方か忘れた)に到着後、朝食を済ませてからルートを決めて出発! この業界では”楽器の街”として有名なマルクノイキルヒェンですが、実はドイツの中では都会からかなり外れたところに位置しており、交通インフラも少ない地域です。 そのため、長い道のりを数少ない電車やバスをうまく使って行く必要があるのですが、この情報は現地に到着してから知りました。(事前に調べていなかった自己責任ですが) バスで行くには途中からかなり歩かないといけないのと、万が一逃してしまうと面倒なので今回は目的地付近の「比較的大きめの駅」まで行き、そこからタクシーで向かうプランに。 ウトウトしながらも約2時間電車に揺られながら目的駅に到着。 そして、タクシー乗り場の標識を見つけ、「助かった!」と思った矢先… 「タクシーがない...。」 配車の仕方もわからず(ウーバーなんかは当然使えず)、頼りになるはずの交番もなぜか閉まっており、「最悪はヒッチハイクかな。。。」と心の中では不安と絶望でいっぱいな状態。 そのとき、 「・・・!? そういえば、駅の売店に人がいたよね!」 そんな思い付きからレジにいたおばあさんに助けを求めたところ、「タクシーを呼んであげるわ」と神の一言。←なんと優しい御方、感謝しかない! その後、無事にタクシーと合流しマルクノイキルヒェンへ。(タクシーに乗れた時の安心感。ナビはこちらが説明しないとわからないおじいちゃんでほっこりしましたが。) そして、ようやくマルクノイキルヒェンに到着! 想像以上にかなりの田舎!!草や動物が多いのどかな町で、ストレス社会に疲れ切った方には非常におすすめの環境です。(笑) 早く到着したため、しばらく周辺を散歩することに。 この日は休日だったため、町はかなり静かで店もほとんどが閉まっておりました。 すると奇跡的に名物のヴァイオリン博物館が営業しており、入ることに。 ドイツでは有名な博物館で、中はたくさんのドイツ製の楽器や弓、そして色々な国の楽器が並べられておりました。 当時の製作過程や道具も見学し、マルクノイキルヒェンでのルーツやこだわりなどの歴史を学ぶことができる場所です。 また、途中で館内スタッフのおばさんがローカル弦楽器を目の前で演奏してくれたりと色々楽しむことができました。 中はこんな感じ↓↓ 有名な超巨大ヴァイオリンと一緒に。 →見た目はただの観光客 ドイツ2日目。 実は今回、マルクノイキルヒェンを訪れた目的は、みなさんも一度は使用したことのあるGold Brokat弦(特にヴァイオリンE線ではシェア一番)で有名なオプティマ社の工場視察です。 普段使用している弦が一体どのように作られどのように商品化されているのか、はたしてどんなもんなんかと(偉そうですが)実際にこの目で直接確かめることでした。弦の構造や作られ方は本で読んだりもしましたが、如何せんイメージがわいていないというのが現状です。 翌朝、先方にお迎えに来ていただき早速工場の方へ! 道中、様々な有名な楽器メーカー(管楽器、ピアノ、ギターなど)の工場が並んでいる道を進みながらオプティマ社の工場に到着。 オプティマ社は元々ミュンヘン付近(ゲレツリード)にも製造施設を構えており、今年2024年にマルクノイキルヒェンに完全に拠点を移したとのこと。 その際、マルクノイキルヒェンの設備を一新し、弦の製造機器だけでなく、工場内の空調や自給自足用の太陽光パネルなどの最新設備を伴っております。 実際に古くから使用されていた製造機。(これがいつまで使用されていたかは知りませんが。) しばらくお茶を交えてミーティングを行いつつ、いざ工場内見学へ! 奥へ進むと製造現場が・・・ なんと、手作業で行われているではないですか!? なんとなく想像していたオートメーション化の世界とは裏腹に、女性ひとりでコツコツと作業されていることに非常に衝撃を受けました。 機械は新しいものが使用されているものの、ディティールはひとつひとつ丁寧にすばやく人の手で行われていて、弦メーカーによるこだわりを感じました。それが現在の価格で流通されていることを想像するとさらに驚きが隠せません。 各弦の種類により担当や製造方法が分かれており、こちらはゴールド弦の作業員さんです。(作業動画を見られたい方は弊社まで。) そこで、先方オーナーのご厚意により、「君もやってみるかい?」とのことで早速チャレンジ! まずは弦のワイヤーをフックにかけてテンションを保ったままペンチで引っ張り続け、フットペダルを絶妙な踏み加減で調節しながら弦を捻じります。(初めてやるドラムみたいな感覚です。知らんけど(笑)) 案の定、全くうまくいかず、失敗のたびに「〇〇ユーロが無駄になったよ」と煽られながら、最低でも5本ぐらいは切って無駄にしてしまっていたような…。 それでも引き続きご教示を受けながら、最後に糸で色付けをしてなんとか完成! 世界にひとつだけの“鈴木弦楽器 オリジナル弦”です。(笑) クオリティーを見てもらうと、私の苦労といかほどに難しいことだったかお分かりいただけますでしょうか。(私の製造過程を動画でご覧になられたい方は弊社まで。パート2) こうして弦づくり?を体験できたことで普段使用している弦も楽器や弓と同じようにメーカーのこだわりが詰まったものであることを実感しました。 この苦労を知れたことは私にとって非常に良い経験となりましたし、今後の楽器の取り扱いだけでなく、弦への意識もより一層高まった気がします。 オプティマ社の方々、本当にありがとうございました。 (※今回紹介した弦の製造方法はオプティマ社によるものです。) 工場視察を終え、マルクノイキルヒェンで有名なおしゃれなレストランに連れて行っていただきました。 こんな感じで至るところに店内にヴァイオリンが。↓↓ 昼食後、町内のヴァイオリンや弓工房を巡り、マルクノイキルヒェンの文化や雰囲気を味わうことができました。 辺りも暗くなりつつ、この日は翌日の早朝移動に備えることに。 ドイツ3日目。 早朝、雨の中タクシーで駅まで向かい、そこからいざミュンヘンへ! ここでもまた乗るべき電車に戸惑い、次の駅での乗り換え時間が7分しかないのに出発が10分以上遅れるというオワコンな状況。 目的駅に着いた途端に駅員から「次のバスがお前らを待ってるぞ!」的な言い方で海外用のでかくて重いキャリーケースを持ちながら走らされるという始末。 これがヨーロッパ文化なのかよくわかりませんが、日本文化のすばらしさにも気づいた瞬間でもありました。(笑) そこから、バス→電車と数時間かけてミュンヘンへ到着! ここまで来ると都会感が増し、あたりは”オクトバーフェスト”のイベントでいつもより盛り上がっておりました。 個人的にはすごく気になるイベント(日本でも開催されておりますが)でしたが、時間がないので急いで目的地まで。 着いた先はミュンヘン駅から車で10分ほどのマリオン・ミヒャエル氏の弦楽器専門店。 店内もかなりおしゃれに、楽器が非常に見やすくきれいに陳列されておりました。とてもおいしいお食事もご用意いただき、情報交換やたくさんの楽器を見させていただいて充実した時間を過ごすことができました。 あっという間に時間が経ち、急いでミュンヘン空港へ! せっかく来たミュンヘンで、もう少し滞在したいところでしたが(本当はオクトーバーフェストも気になってる)、また次回来た時の楽しみにとっておこうかと思います。 ドイツ編は以上です。次はイタリア編のレポートをお届けします。お楽しみに!

クレモナ・モンドムジカ 2023
2023年10月3日
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< クレモナ・モンドムジカ 出張レポート > 2023年9月22日(金)から24日(日)にかけて、イタリアのクレモナにおいて国際的な楽器フェア「クレモナ・モンドムジカ」が開催されました。 モンドムジカとは、歴史あるイタリアの国際的な楽器見本市です。 クレモナでの製作家はもちろん、世界中からあらゆるメーカー(楽器、パーツ、ケース、材料...etc)が出展し、ビジネスの出会いの場としても数々の企業が注目するイベントです。 今回は当社もこの年に一度の大規模イベントに参加してまいりましたので、そちらの内容をご紹介したいと思います。 実は代表である私 鈴木は、恥ずかしながらイタリアへの出張が今回が初めてでした。 弦楽器専門業者として、本場を間近で見ていなかった私はこの業界では本当に肩身が狭かったです。 (先代の代表含め社員や取引先は何度も訪問していたので、普段からは話は聞いておりましたが。) 3年程前に急遽訪れた代表者交代(故:父→子=私)やコロナ禍、国際問題などがあり、なかなか日本から出ることができず本場の環境を味わうことができませんでした。 そのような経緯もあり、今回の渡伊は非常に楽しみで気合が入っておりました。 でしたが、、、 さっそく初日から行きの予約便がまさかの当日に欠航。(恐らく世界情勢の影響。) 急いで替えの便を探し、翌日の羽田空港経由で向かうことになり東京で前泊。 羽田空港にも慣れていなったので、既に異国に来たかのように迷いました。 「羽田空港広すぎっ!」(笑) ←普段、東京へは新幹線の為(という言い訳) そんなこんなで、早朝に日本を出発してまずは乗り継ぎ先のドイツ(ミュンヘン空港)へ! 13時間のフライトでしたが、あまり機内でも寝られず最悪なコンディションでヨーロッパに到着。 と思いきや、さらにドイツでも飛行機の遅延。 結局、現地21時過ぎにイタリア(マルペンサ空港)到着。 そこから荷物やらなんやらしているとあたりは真っ暗で当たり前ですがお店もほとんど閉まっていました。 ミラノ中央駅に行きたいのですが最終の電車も逃し、本当にホテルに辿りつけるのかわからない不安のまま空港内うろちょろ、、、 なんとかバスを発見し、車内が真っ暗で行き先を間違っていないかという不安と恐怖の中、なんとかミラノ中央駅に23時半頃到着。 当然、電車や公共交通機関もない為、(ずるいような気もしますが)タクシーを拾いクレモナまで。 そして、やっとの思いでクレモナのホテルに夜中1時頃到着。 ぐっすり休みたかったのですが、 大阪から弾丸で走ってきたような感覚で、緊張が収まらずその日は全く眠れませんでした。 翌朝、、、 朝食会場で日本の取引先と待ち合わせをしていたので合致し、ほっと一安心。 その後、今回の本題であるモンドムジカへ! 開場時間に向かい、すでに長蛇の列がずらりと並んでいました。 →写真はそうでもなさそうですが本当に並んでいました。 入口に到着し、チケットを見せて入ろうと思うとカバンの大きさに引っ掛かり再度並ぶはめに。 (次回からはもっと小さいカバンで行くことを絶対に忘れません。) そして、ついに中に入ることができました。 (展示会の中の様子) 全てが新鮮な感覚でわくわくが止まりませんでしたが、緊張ながらも数々の製作家と交流し、楽器を拝見しました。 以前にもこのような展示会は日本でも参加しましたが、また違った雰囲気があったように感じます。 いつも日本でも色々な楽器は拝見しておりましたが、直接コミュニケーションをとりながら拝見する楽器もまた新鮮な感覚です。 楽器そのものだけで判断するのではなく、作者の意図によって表現されている部分を理解し、本人の性格やセンスをイメージしながら見るのは一味違った面白さがあります。 (お世話になっている根本氏と) (若手の人気作家、Guido Renzetti氏) (Petko Petkov氏) 非常に奥深く、わたくしはまだまだ勉強が必要ですが、そのような製作家の感覚が非科学的な楽器の音響性や作品性にも表れる部分なのだと思っています。 そして、フェア会場を去り、夕飯会場へ。 有名駒メーカーのデスピオ氏に招待いただいたレストランで、すごく美味しいイタリア料理をいただきました。 美味しい椎茸やな~と思いながら食べていましたが、後で「ポルチーニ茸」という高級食材であったことを知り驚愕。 あの時の「お腹いっぱいや~」と軽く言っていた自分を殴りたいです。(笑) 写真をお見せしたかったのですが、撮るの忘れていました。 それから2日目、3日目とモンドムジカにも行きつつも、現地の職人の工房を訪問し「人・環境・楽器」を目に焼き付けてきました。 そして、夜はおすすめのレストランで食事会を開き、そこでしか聞けない話など親交を深めてまいりました。 こちらも一部ですが写真を貼らせてもらいます。 写真が少なめで、伝えきれているかわかりませんが、、、 ← 撮るの忘れていました(part②) 旅慣れをしていないもので、帰国後に写真の重要性がわかりました。 次回からは皆さんにお伝えできるようなるべく写真を撮ってきます。 今回の出張で色々な方と出会い、私個人的には非常に価値観が広がった旅でした。 関わっていただいた、「製作家、音楽家、取引先、ご協力者」の皆様、本当にありがとうございました。 自分一人ではできなかった体験ができたことに大変感謝申し上げます。 製作者の方の思いやこだわりなど、対面でしかわからないことを伺えて自分にとってかけがえのない財産となりました。 お話を伺ってから、改めて作品を見るとまた違った見方ができるような気がしています。 弦楽器の魅力は「作品性・音響・芸術性・歴史・文化など、、、」といろいろな側面があり、その魅力を一言では表せないです。 ですが、これからも勉強を忘れずに、楽器屋として日本の皆さんに喜んでいただけるような楽器探しを追求してまいります。 皆様の好みに合わせた楽器をお届けできるようもっともっと精進してまいります。 他にもたくさんお話したいことはありますが、続きは店頭にて楽器を交えてお話できればと思います。 今回クレモナで仕入れた楽器・楽弓などは今秋の10月14日(土)から始まる『鈴木弦楽器 秋の大展示会』でも展示しております。 気になる方は是非ご来店お待ちしております。 P.S. 往路の内容が濃すぎて、飛行機での情報量が多くなり申し訳ございません。(笑) 次回からは写真含めより多くの弦楽器情報をお届けできるよう努力します。